通訳コラム

通訳者への道 連載第2回

エージェンシーについて

通訳はプロの仕事ですが、弁護士や医師のように公的な資格制度はありません。この世界で重要なのは、通訳者の実力とマーケットです。そして通訳マーケットではエージェンシーが重要な役割を担っています。通訳というサービスを利用する顧客は仕事をエージェンシーに発注し、エージェンシーが通訳者に依頼するという仕組みが一般的になっています。したがって通訳の仕事をしようという場合には、通訳エージェンシーとなんらかの関係を持つ必要があります。

これは通常、エージェンシーに登録するという形をとります。しかし、エージェンシーとしては仕事の実績のない人を登録しようとはあまりしません。エージェンシー系の通訳者養成機関を修了することにメリットがあるのはこの点です。そこで成績がよければエージェンシーのほうから声がかかります。どんな仕事でも、特にプロの世界では、仕事をするようになる入り口が難関です。通訳技能向上センター(CAIS)が設立された目的の一つもここにあります。通訳の技術を身につけた人たちがその力を試す機会を提供し、仕事の世界に入ることをより容易に、より透明にし、マーケットとの接点を作ろうということです。

エージェンシーに登録すると、次にエージェンシーの担当者と面接する機会があるのが普通です。エージェンシーはいつも顧客の要望を意識していますから、この面接に際して候補者がすぐ仕事に使える人かどうかを判断します。服装や立ち振る舞いなどに注意することが必要です。やがてエージェンシーから仕事の依頼が来るようになります。エージェンシーは通訳者を能力、経験、得意・専門分野などのカテゴリーで把握し、顧客から受注した仕事に適切な通訳者を結びつけるようにしています。通訳者は仕事を請けたら、一生懸命・誠実にこなし、顧客あるいはエージェンシーの信頼を得るようにしなければなりません。一つ一つの仕事が、通訳者にとっては勝負です。とりわけ経験が浅い時期は、仕事を選り好みすることなく積極的に請けて、誠実にやり遂げることが大切です。こうした日々の積み重ねが、プロの通訳者としてのキャリアを作ってゆきます。

連載第3回 「仕事の形態」

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通訳者への道

プロの通訳者への道のり、そのポイントを通訳者の小松達也が教示します。