通訳コラム

通訳と声 連載第4回 2006.11.09

声帯のケア

ハイシーズンの秋、疲れがたまっていて、つい電車の中で居眠り…そのまま現場に入ったら声がでにくくて困った、という経験はありませんか? 出張先でエアコンをかけたまま寝てしまい、翌日声が枯れてしまったことは?
今日は意外と知られていない、声帯のケアについてお話しましょう。

声帯は筋肉でできており、体が眠ってしまうとすぐには調子がでません。私が新人のころ、「仕事が始まる3時間前には起きろ」と先輩に言われたものでした。でも、うたた寝して再び声帯が寝てしまったら、起こしなおさねばなりません。手っ取り早い方法は、低い音でハミングすることです。「んー」という音で鼻の粘膜を暖めるように行います。体と同じで準備体操をしないで運動する(声を出す)と痛める原因になりますのでご注意ください。

一日声を出し続けた日は、クールダウンも必要です。声帯周辺や首の回りの筋肉をほぐしましょう。エアコンなどで乾燥した環境で話し続けた後は、すぐにマスクや蒸しタオルで保湿します。寝る時にもマスクをしておくと、ちょうどいい保湿になり、風邪、鼻炎の予防にも効果的です。私は100円ショップなどで売っている不織布でできたものが呼吸しやすくて気にいっています。また首にうすいガーゼ状のスカーフを巻いて寝ると声帯の冷えを防げます。決してロマンティックな姿ではありませんが、効果は絶大です。

疲れによって声が出にくい時はどうしたらいいでしょうか? 声帯は、起きている間はいつでも声が出るよう準備しているため、体が眠らないと休めません。寝る前に資料のチェックをしたいところですが、声に出さず活字を読むだけでも声帯は反応し、動いているそうです。以前ポリープの手術で入院した友人がこの機会にとばかりにたくさん本を抱えて病室に入りましたが、この理由から読書を禁止されがっかりしていたことがありました。

過酷な状況の中でもいつも忠実に仕えてくれる僕のような声帯は、みなさんの大事な仕事道具でもあります。お肌のお手入れをするのと同じように、愛情をこめてケアすれば翌日はきっと期待に応えてくれるでしょう。

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轟 美穂 さん

ラジオ局アナウンサー、TVレポーターを経て、ナレーター、司会者として活躍。プロの通訳者のための日本語パフォーマンス向上講座、放送通訳講座などの講師や、仕事で声を使う人のコンサルティングも務める。2004年より京都在住。ヴォイスコネクション主催。