通訳コラム

通訳と声 連載第10回 2015.03.13

声のセルフトレーニング

「練習法を教わってもなかなか身につきません。どうしたら良いでしょうか」という質問をよく受けます。スポーツやダイエットなど、やると良いとわかっていてもなかなか続かない、という事はよくあるものですね。通訳者の皆さんは通訳技能という専門スキルを磨かねばならないのですから、なおさら大変なのだろうと感じています。
今回は、毎日の生活の中で習慣づけるための、セルフトレーニングの仕方とコツについてです。

声のセルフトレーニングの目的

運動をつかさどる小脳の働きとして、正しいフォームでの反復練習が効果的だと言われています。はじめは耳や目など感覚的に確認する必要がありますが、やることを決めたらそれを毎日コツコツ積み重ねていくと、やがて何も意識しなくても運動できるようになる時が訪れるというのです。逆に考えると、感覚的評価が必要な最初が、一番しんどいと感じるかもしれません。

用意するもの

  • 録音できるもの
  • 写真や動画がとれるもの
  • 記録用シート

※鏡以外はスマートフォンの機能で十分です。

※記録用シートはダイエットやフィットネスアプリなどで代用する事もできます。

手順

(1)まずどんな練習が自分に必要かを決定する

(2)練習メニューを作成する

(3)どこでいつやるかを決める

(4)実行する!

(5)1週間、1ヵ月・3ヵ月など定期的に成果を見直す

(1)と(2)は自分で決めるのは難しいかもしれません。研修で習う、専門家の指導を受けるなど工夫してください。

セルフトレーニングのコツは同じ条件で繰り返す事、そして記録をつけることです。 最初に述べたように、一度プランを決めたら、雨が降っても、少々疲れていても、黙々とこなしてゆくと、やがて顔を洗ったり歯を磨いたりするように習慣づけられます。
以前僧侶の方が短期間で上達されたので、驚いたことがあります。一緒に組んだメニューを毎朝のお勤めの前にきちっと練習してくださったのです。 繰り返し同じことをするのに慣れている人や、毎日決まったルーティンを行っている方はやりやすいでしょう。

また、記録はとても重要なものです。 自分の感覚や記憶だけでは、どのくらい変化しているかがわからず、モチベーションも上がりません。毎回録音を聞く事により、耳を鍛えることもできます。耳が肥えて小さな音の変化に敏感になると上達が早くなります。 時々初回のデータを「聞くのが恥ずかしい」という理由で消してしまう方がいらっしゃいますが、どのくらい変化したかの指針となる大切なものですので消さないようにしましょう。

今回は声のセルフトレーニングの仕方とコツについて考えてみました。忙しくて毎日10分ぐらいの短い時間しかとれなくても問題ありません。この様に、きちんと計画することで結果が出ますので、コツコツと継続してみてください。

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轟 美穂 さん

ラジオ局アナウンサー、TVレポーターを経て、ナレーター、司会者として活躍。プロの通訳者のための日本語パフォーマンス向上講座、放送通訳講座などの講師や、仕事で声を使う人のコンサルティングも務める。2004年より京都在住。ヴォイスコネクション主催。