「骨太の(方針)」
- general, comprehensive, broad, rough
- robust, sturdy, strong, powerful
- substantial, solid, basic, essential, important
「骨抜き(になる)」
- to get / be diluted, weakened, emasculated
- to become toothless
- to lack / lose power, effectiveness
「骨太の方針」という名で知られる政府の経済財政政策がこのところよく話題になりました。骨太の方針は、もともとは2001年6月に小泉内閣の経済財政諮問会議でまとめられた「構造改革と経済運営の基本方針」を指します。
当初からこの「骨太の方針」という名前が定着し、「骨太」が何を意味するかが問われないまま今日に至っています。そのためにその政策の内容についての理解が漠然としたものになってしまったのはやむを得ないことでした。この方針の生みの親ともいえる竹中平蔵前経済財政政策担当大臣ですら、「これは意味のよく分からない言葉であることに気付くだろう。」と言っています。
竹中氏によると、当時関係者の間では、経済財政諮問会議ではおおざっぱな、一般的な問題を提起し、事務方である財務省が具体的な内容を作る、という理解があったそうで、「骨太という言葉には明らかに諮問会議には現実的な問題には口出しさせないという、ネガティブな意味が含まれていた」(竹中平蔵著「構造改革の真実 竹中平蔵大臣日誌」2006年日本経済新聞社刊 より引用)ということです。このような裏話を聞くと、「骨太の方針」という極めて曖昧な用語が使われるようになった事情がよく分かる気がします。
こういう意味だとすると、「骨太の」は “general” “comprehensive” “broad” “rough” といった形容詞があてはまるでしょう。「骨太の」は本来は勿論「骨の太い」、したがって「しっかりした」、「たくましい」という意味でしょう。英語では “robust” “sturdy” “strong” “powerful” などがあてはまります。さらに「内容のある」の意も含むと考えれば、“substantial” “solid” あるいは “basic” “essential” “important” などでもいいでしょう。“Large-boned” などという直訳的な表現では意味は通じません。
いずれにしろ曖昧であることには変わりがありません。これも一種のメタファー(metaphor)ですから、一般的な、抽象的な事象(A)をより分かりやすい具体的なもの(B)にたとえるわけです。Aがその政策の中身であり、Bが骨にあたります。Aがよく分からないわけですから、このメタファーは成り立ちません。
英文の記事でも「骨太の」をそのまま訳している表現は見当たりませんでした。“An economic and fiscal reform plan adopted by then Prime Minister Junichiro Koizumi”、あるいは “the basic plan” という一般的な表現で表示していたようです。
この「骨太の方針」が、その後安倍、福田、麻生政権と移ってきて本来の構造改革、財政健全化という基本姿勢がだんだん曖昧になってきました。そして不況下の麻生政権で社会保障費など歳出削減の数値目標が外されました。翌日の新聞は「骨太の方針が骨抜きに」という見出しを掲げました。
これもまた「骨」を使ったメタファーですが、こちらの方は意味がよく分かります。内容である骨格の骨の一部が無くなったわけですから。英語訳としては、やはり骨を使うことは無理でしょう。意味するところをとって英語の表現を探すということになります。“To be / get diluted” “weakened” “emasculated” あるいは “to become toothless” “lacking power/effectiveness” などともいえると思います。
「骨太の方針」は意味不明瞭ですが、「骨太の方針が骨抜きに」は面白い言葉遊びです。
