通訳コラム

英語発音上達のコツ 連載第3回 2013.08.09

発音上達の近道

第1回では、「正確に発音する重要性」について、第2回では「明確な発話の重要性」についてそれぞれ述べました。では、今回は、発音が上達するためには、どのようにすればよいかということについてお話しします。

まず、発音を向上させたいと考える場合に大切なのは、第1回でも述べましたが、正確に発音することです。では、正確に発音する際に心がけることは、思い込みによる発音を避けることです。どういうことかと言いますと、知っている単語ほど、思い込みによる発音、言い換えれば、自己流の発音をしていることが多いものです。

たとえば、“bonus”という単語は現在、日本でも一般的に使われる語です。しかし、正確な発音は[ボーヌス]ではなく、[ボゥヌス]です。何が違うのかというと、母音の“o”は、[オー]という長母音ではなく、[オゥ]という二重母音なのです。こうしたことに、少しだけでも気を配ってみると発音は格段に良くなります。

ところで、最近では、音声機能付き電子辞書という便利なものがありますので、多くの通訳者や英語学習者がご愛用のことと思います。電子辞書で発音を聞いて確認することも、発音を向上するための非常に良い習慣ですが、電子辞書や紙の辞典で発音記号(phonetic symbols)をまめに引くこともとても重要です。
なぜなら、たとえネイティブスピーカーや音声機能付き電子辞書が正確に発音していたとしても、それが正確な発音だと認識できていなければ(つまり、「正確な input」として認識されなければ)、正確な発音として発音する(つまり、「正確な output」)ことはほぼ不可能です。先ほどの例でいうと、音声の出る電子辞書が[ボゥヌス]と発音しても、(英語学習者)本人が[ボーヌス]と理解していれば、output は[ボーヌス]になってしまうというわけです。

第2回でも書きましたが、通訳者が通訳を行った場合に、発音が正確でなくても、意味理解には影響を与えないと考える方もいると思いますが、細かい発音の相違(たとえば、母音や子音)が、やがては「発話全体のリズム」という大きなまとまりに影響を与えてしまいますし、違った意味にとられかねないので、日ごろから細かい発音にも意識を配りたいものです。

また、同時に注意したいのは、つづり字と発音の関係です。たとえば、簡単な例ですと「襟」を意味する“collar”は[ラー]ではなく、[ラー]です。またもう少し難しい単語で言えば、「起訴」を表す“indictment”は[インディクトゥメントゥ]ではなく、[インダイトゥメントゥ]となります。

また同じつづりの単語でも、意味が異なる場合に、発音も異なることがあるのですが、そうした場合にも注意が必要です。たとえば、“row”は「通路」という場合は[ゥ]と発音しますが、「騒々しい喧噪、騒動」といった場合は[ゥ]と発音します。
こうした相違もあるため、辞書をこまめに引く習慣を身に着けることが発音向上の近道の一つと言えます。

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米山 明日香  さん

青山学院大学社会情報学部准教授。ロンドン大学(University College London)で MA in Phonetics 取得。博士(文学)。専門は音声学、英語教育、英語プレゼンテーション。International Phonetic Association Certificate of Proficiency in the Phonetics of English 取得。「スーパー・アンカー英和辞典」「スーパー・アンカー和英辞典」(学習研究社)の編集・執筆協力者。共著に「イギリス英語を聞く」「話せる! 英語シャドーイング」(コスモピア)、単著に「成功する英語プレゼン」(コスモピア)がある。
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