通訳コラム

Around the World 連載第1回 2015.08.28

アメリカ合衆国「お国柄も訳し分け」

私は日本で通訳の仕事を始めましたが、その後フランスで8年通訳をしました。日本に戻ってからも仕事を続け、現在はアメリカのワシントンDC郊外に移り住んで2年ほどになります。

フランスで仕事を始めたころは金融危機の前で景気が良く、人手が足りなかったことから、新米通訳の私も色々な国際会議に駆り出されて、大量の冷や汗をかきながら究極のOJTを経験しました。ヨーロッパ、中東、アフリカと、カバーする地域は広いのに通訳者の数は少ないので、同じ先輩方とご一緒する機会が大変多く、その度に本当に色々なことを教えていただき助けていただきました。

このように、カバーする範囲がとても広いこともあり、ヨーロッパで仕事をして面白いのはやはり色々な国があることでした。 EUに見られるように多くの価値観を共有するヨーロッパ諸国ですが、当然それぞれの国の文化や気風がありますし、中東やアフリカもそれは同じ、何より私にとっては初めての体験ばかりでした。出張先でそんなことを感じ、地元の料理を頂くのが楽しみの一つでもありました。

そしてもちろん言語もそれぞれですから、国際会議では色々な訛りの英語を聞くことになります。 英語を母国語とする人よりも、そうでない人の通訳をすることのほうがずっと多かったのです。 訛りだけではなく、話の仕方にも各国の文化や言語の背景が影響しますので、スピーチのロジックについて行きやすい国民、苦戦する国民と、通訳者自身の好み(?)にもよって、得意不得意があるようです。

逆に、アメリカに居る今は主に英語が母国語のお客様とお仕事をするわけですが、母国語だけに聞きやすいことは確かながら、速くて無駄が無いので、より楽かというと微妙なところです。

アメリカでは、他の国への出張はヨーロッパにいた頃に比べれば圧倒的に少ないですが、何しろ国が広いので、他の州に行くだけでも大変な遠出のような気持ちです。アメリカの都市にもそれぞれ特徴がありますので、これから色々な発見があるのではないかと思っています。

私はアメリカで仕事を始めてほどなく妊娠し、今年(2015年)の初めまでお休みをしていました。このため、まだアメリカで実際に仕事をした日数はとても少ないのです。ただ、通訳という仕事は、お休みが必要ならお休みもできるし、たくさんしようと思えばそれも可能です。子育てをしながら、これからも大好きな通訳の仕事を続けて、さらにスキルを磨いていきたいと思っています。

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笹島 早苗 さん

アメリカの幼稚園、高校、大学に通い、日本に帰国。メーカーに勤務した後サイマル・アカデミーを受講、 修了後、サイマル・インターナショナル専属通訳者になる。フランスにおいても通訳を経験し、アメリカに移住後、妊娠出産を経て2015年7月現在、9ヵ月の息子を育てつつ、フリーランスとしてほぼフルタイムで活動中。