通訳コラム

通訳者の英語力 連載第10回 2017.12.08

実際に通訳をする

これまで長々と英語学習法について書き連ねてきましたが、結局実践に勝る学習法はないと思います。自信をつけてから実際に通訳をしたいというのはもっともですが、心の準備ができることはいつまで経ってもないと断言できます。自動車の運転も、免許をとれば公道に出ることはできるけれど、実際に路上に出て運転をしないかぎり、自信がつくことはないのと同じです(かくいう私はペーパードライバーなのですが)。

私自身も通訳に挑戦するまでは5年ほどかかりましたが、挑戦しようと決めた1年後には社内通訳者になっていましたし、2年後には同時通訳ブースの仕事もいただけるようになりました。自信はまだまだついていないし、つけるべきでもないと思いますが、やはり毎回の案件が一番の勉強になります。緊張感もあるし、生きたことばを扱うので、毎回かなりの学びがあります。

一口に通訳といっても、様々な仕事があります。同時通訳ブースで行う会議通訳の仕事から、商談の通訳、展示会などのアテンド通訳、放送通訳、コミュニティー通訳、社内通訳など様々な通訳形態があります。社内通訳でも翻訳も合わせて担当することがあったり、バイリンガルセクレタリーのように、通訳につながるような仕事もあります。積極性さえあれば、意外にポジションはあるものです。私の友人も、通訳エージェントのスキルチェックには合格しなかったものの、以前の職種のバックグラウンドを生かして社内通訳者のポジションをゲットしました。スキルと同じくらい、積極性が大事なのではないかと思います。

東京ディズニーランドが日本にできるということが決まったとき、たくさんの通訳者が生まれたそうです。ハイレベルの経営の話から、アトラクションを動かすためのケーブルの詳細の打ち合わせまで、実に幅広い通訳需要が生まれ、経験はないけれども通訳をやりたいという人のところにもチャンスが回ってきたそうです。

2020年には東京オリンピック・パラリンピックが日本にやってきます。もうすでに様々な分野で通訳者が稼働しています。スポーツに関することだけではなく、会場についての会議や、宿泊、公共交通機関などについての打ち合わせも行われているはずです。かなりの数の語学ボランティアも動員されると聞いていますので、ぜひ積極的に機会を探して、通訳や英語を使う経験をつけることをおすすめします。

通訳と一口に言っても、色々な通訳があります。通訳の仕事の実態を知るためには、松下佳世さんの「通訳になりたい!――ゼロからめざせる10の道」がおすすめです。日本語から英語への訳出が苦手だったため、英語から日本語の通訳に特化する放送通訳者や、特定のスポーツの経験を生かしたスポーツ通訳者の体験談など、とても参考になります。是非皆さんもある程度の英語力がついたら、実際に通訳に挑戦することをおすすめします。 ご愛読ありがとうございました!

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佐藤 祐大 さん

ロンドンメトロポリタン大学大学院会議通訳科修了。医療機器メーカー、コンサルティング会社などの社内通訳者を経て、2016年10月からサイマル・インターナショナル専属通訳者。