通訳者インタビュー「帰国子女でなくても通訳者に」

このインタビューでは、「帰国子女」ではないのに通訳者として活躍中の3名の方に、語学学習の方法や、語学力以外で通訳者になるために必要なスキルなどについてのインタビューにお答えいただきました。「通訳になるためには、帰国子女のように外国語を自由に話せないといけない。」と思っている方は多いと思いますが、そんな考えを覆すような興味深い回答を得ることができました。

帰国子女である方も、そうでない方も、通訳に携わる全ての方にお読みいただき、今後の学習や業務のモチベーションを上げていただきたく思います。

インタビューにご協力いただいた方々五十音順

阿部 尚子(あべ なおこ)さん — 英語通訳

1992年津田塾大学学芸学部英文学科を卒業。外資系損害保険会社での損害調査部門勤務を経て、社内通訳の業務を行うこととなり、語学学校の通訳者養成コースを受講。社長秘書兼通訳を経て、外資系金融会社に転職し、法務部門で勤務。2001年3月に通訳者養成コースの本科(一番上のクラス)を修了し、同年5月からサイマル・インターナショナル専属通訳者として通訳の仕事を始める。

嵯峨山 みな子(さがやま みなこ)さん — 韓国語通訳

証券会社勤務を経て、延世大学校韓国語学堂に語学留学。帰国後、銀行勤務を経て、梨花女子大学校通訳翻訳大学院通訳学科韓日専攻に留学。卒業後、日本に帰国してから日韓通訳者として活動を開始。

櫨 博信(はじ ひろのぶ)さん — 中国語通訳

名古屋大学経済学部経営学科を卒業。トヨタ自動車等に勤務後、フリーランスに転向。現在、会議・放送通訳のほか、通訳スクールの講師等も務める。中国語は25歳から本格的に学習を始め、資格は、通訳案内士、中検1級、国際言語コミュニケーション学修士、英検3級等を保有(※)。将来の目標は、日中英トライリンガルの一流の会議通訳者。

※英語はトヨタで欧州担当時にTOEICで905点を取るほど勉強したものの、今は錆びてしまったため基礎から段階的に再構築を始めたところ、とのこと。

皆さんが「帰国子女」でないことで逆に強みになった点をお聞かせください。

阿部さん :
強みよりは弱みの方が多いと思いますが、そのぶん人一倍勉強しなければいけないという意識を保ち続けることができていると思います。また、大学受験まで、日本の教育を一貫して修了することができたということも、空白がないという意味で良かったかなと思います。
ただし、完璧なバイリンガルになるためには、その日本語で学んだことを大人になってから英語ですべて学び直さないといけないと思いますが、これは仕事をしながらではなかなか大変です。
嵯峨山さん :
日本人で日本で育った人なら誰でも当然知っているようなことを知っていることくらいでしょうか? 通訳をしている時、些細な知識が役立つことがよくありますが、そういう時に日本人としての、そして日本語としての軸がしっかりあってよかったと思うことがあります。それから立ち居振る舞いやマナーも日韓では異なるので、日本で活動するにあたってはそういう点も強みになっていると思います。
でも語学に関してはやはり帰国子女の皆さんのほうが有利な点が多いです。だからこそ、帰国子女ではない自分は倍以上の努力をしなければならないと思ってやってきました。そういうモチベーションを与えてくれたのも帰国子女でないことの強みになったかもしれません。
櫨さん :
正直ないです。いきなり期待外れの回答ですみません。外国語習得という観点では、帰国子女は有利です。
ただ、帰国子女でも努力を怠ると外国語力は伸びないと思います。また、母語と外国語の間でやりとりをする通訳という観点では、母語不在の「アリンガル」と呼ばれる帰国子女は、欧州では「通訳者養成機関への入学を許可すべきではない」との意見もあります。
私の強みについては「帰国子女ではなく、大学で中国語を専攻したわけでもないので、人一倍努力しなければ一流の通訳者になれない」という気持ちぐらいでしょうか。
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