通訳コラム

通訳者の英語力 連載第4回 2017.06.09

資格試験を活用する

先日、クライアントから「通訳の人は、TOEICだと何点くらいですか?」と聞かれました。サイマル・アカデミーのウェブサイトを見ると、通訳者養成コースの目安としてTOEIC860点というのが挙げられていますが、これはようやく通訳スタートラインに立てるくらいの英語力ということになるのでしょう。もうすでに通訳者として活動している人の間で、英語に関する資格の話が出ることはほとんどありません。また、一般的なTOEICはリスニングとリーディングの2技能なので、どんなにスコアが高い人でも、スピーキングの能力は未知数です。

とはいえ、国内で英語を学習する場合には、資格試験をうまく活用することは効果的です。私も大学時代には、TOEICや英検などを受けることで、英語の語彙力や読解力を伸ばしました。また、留学をするためにTOEFL-iBTやIELTS(この2つは4技能)も受けましたが、非常に効率よく英語が学べたと思います。

これらの資格試験の対策をしても、日常会話はそこまで上達しないかもしれません。日常会話の表現は非常にカジュアルで日常的な内容なので、英語圏で過ごした経験がないと、なかなか聞き取れないように感じます。それに対してビジネスや研究の場で使われる英語はフォーマルなので、背景知識があれば聞き取りやすくなります。

また、資格を持っていることで、英語を使った仕事をするチャンスに恵まれることもあるかもしれません。英語は実際に使わない限りコミュニケーション能力はつきません。ただ、資格があることでスタートラインに立つことはできます。通訳の学位を取得したり通訳学校を出たりしていても、自信を持って通訳をできるということはないでしょうが、少なくともスキルチェックはしてもらえます。

それでは、これらの資格試験の対策はどのようにすればいいのでしょうか。教材は世の中に溢れていますが、問題演習をするのが一番です。「文法問題は飛ばして長文問題から解く」のようなテクニックを学んで点数を上げようとするよりも、問題を解いた方が英語の処理スピードが上がって最終的にはスコアも伸びます。勉強法の勉強ではなく、勉強そのものをしたほうが効果的です。ある程度の量をこなす前に効率を求めても、うまくいきません。

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佐藤 祐大 さん

ロンドンメトロポリタン大学大学院会議通訳科修了。医療機器メーカー、コンサルティング会社などの社内通訳者を経て、2016年10月からサイマル・インターナショナル専属通訳者。