通訳コラム

通訳者の英語力 連載第8回 2017.10.13

留学をする

基本的な英語力をつけるのに英語圏への留学は効果的でしょうか。私は大学の学部生時代に交換留学で1年、また大学院でも1年間イギリスに留学していました。もちろん、留学をするにはお金も時間もかかるので、誰でも気軽にできるわけではありませんが、今回は留学をすることの利点について書いてみます。

まず、留学生活で身につくのは何と言っても日常生活に関する語彙です。文をきちんと組み立てて話すような力は、英語圏で単におしゃべりしているだけでは身につきません。しかし、身の回りの生活に関することばは、英語圏に身をおくことによって学ぶことが可能になります。

ビジネス用語や時事用語は通訳の現場でも頻出するので、自然と覚えられますが、日常生活に関する語彙はなかなか身につきません。現に通訳の現場でも、ビジネス用語を駆使してスムーズにコミュニケーションを取っていたクライアントが、雑談になった途端にたどたどしくなり「花粉症って何て言うんですか?」といった質問をしてくることもあります。

とはいえ、実際では1年程度の海外生活では、生活語彙もそこまでは身につきません。特に最初から期限が決まっている場合は、経験できることには限りがあります。私も英語圏に何人か通訳者の知り合いがいますが、彼女たちは現地で結婚したり、家を買ったり、子どもを学校に行かせたりしているだけあって、日常生活に関する語彙は非常によく知っています。

私は大学の交換留学と大学院留学を両方経験していますが、大学院留学のほうが充実していました。交換留学のときは色々な授業を取っていたので、なかなかネイティブの学生には歯が立ちませんでしたが、大学院となると、専門性が出てくるので、外国語でもそれなりに予習していけばネイティブとも対等にやり合えるようになります。また、いつも同じ顔ぶれで少人数のセミナー形式で行われる授業も多いため、クラスメートとも必然的に親しくなります。

語学留学の類になってしまうと、現地の学生と触れ合う機会もありませんし、日本人は日本人同士で固められてしまうこともあるので、教室での環境は同じで、学校だけ英語圏に移ったようなものです。やはり、TOEFLなどで何とか点数を取って、できれば大学院レベルでの留学をするのをおすすめします。

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佐藤 祐大 さん

ロンドンメトロポリタン大学大学院会議通訳科修了。医療機器メーカー、コンサルティング会社などの社内通訳者を経て、2016年10月からサイマル・インターナショナル専属通訳者。