具体的なフィードバックが役立った

I.I.様

逐次通訳試験 受験
3級取得(第22回試験)

東京都在住 30代女性

日系メーカー 社内通翻訳業務

ご自身について

経歴や現在のお仕事についてお聞かせください。

東京外国語大学で英語以外の言語を専攻し卒業しました。大学卒業後は金融業界で11年半ほど働きましたが、その間に夜間の大学院で金融工学を修め卒業しました。退職後は、フリーランスで金融分野の翻訳をしながら、展示会や商談通訳の経験を積み、先日社内通翻訳者として某日系メーカーで働き始めました。

現時点では通訳よりも翻訳の比率が高く、通訳機会はまだそこまでありません。将来会議通訳者になることを目指して、サイマル・アカデミー(通訳訓練校)で訓練を受けています。

TOBISについて

受験の目的をお聞かせください。

まず、客観的な自分のレベルを測りたかったのと、プロから客観的なコメントをいただきたいと考えました。サイマル・アカデミーに通っているので、授業でプロの会議通訳者から客観的なコメントは毎回もらっているのですが、いつも見ていただいている講師とは別の方からもコメントをいただきたいと考えました。また、緊張しやすい性格で少しでも場数を踏みたかったので、受験しました。

試験について感想をお聞かせください。

数年前に受験した時は、試験の構成が今よりシンプルで、今回のPart 3と同じスピーチ形式の内容が英日、日英それぞれ1題ずつ出題されていました。当時は難しすぎて歯が立たず、あっという間に終わってしまったという印象でした。今回は、Part 1とPart 2が追加され、以前の試験よりも通訳レベルを細かく判定していただきやすくなったと感じました。

Part 1が「会話」、Part 2が「短文」、Part 3が「スピーチ」と難易度が徐々に上がる構成になっており、問題の内容にバリエーションがあると思いました。Part 3の問題は、サイマル・アカデミーで学んでいるレベルに近く、学校以外の環境で実力を試す良い機会となりました。

評価やフィードバックについて感想をお聞かせください。

どこができていて、どこができていなかったか、できなかった部分は何が問題なのか細かく指摘していただけて良かったと思います。例えば、「数字は日英・英日とも正確にできていて、日英は訳出できている情報は正確だが、レスポンスの遅さとfluencyが問題。流れを意識するようにしましょう。英日は、xxxxの部分(流れ)を大きく誤解しています。ノートテーキングをもっと頑張るようにしましょう」など、具体的にフィードバックをいただけました。

目的に適う試験だったか感想をお聞かせください。

目的に適う試験でした。このように細かいフィードバックをいただけるとは思っていませんでした。課題を指摘していただいたので、今後どの部分に重点的に取組めばよいかを判断する指標にもなりましたし、できている部分もフィードバックしていただけたので、少しだけ自分の成長を感じることもできました。

学習方法について

通訳専門訓練のご経験、受験に役立ったことなどお聞かせください。

サイマル・アカデミーに通っています。ノートテーキング、リテンションスキルなど通訳に必要なスキルを、様々な分野に渡る音声教材(生教材を含む)を繰り返し訓練する中で、少しずつ体得できていると感じています。

効果的と思われる学習方法、工夫されている点などをお聞かせください 。

リテンションスキル向上のために、トランスクリプトがある1~4分程度の英語の音声を使って、トランスクリプトを見ずにメモとりなしで1回だけ聞き、すぐに日本語で訳出する、という練習方法を行っています。訳出する際は必ず録音し、トランスクリプトを見ながら録音した自分の訳を確認しています(元の音声が2~4分と長い場合は、サマリでよいことにしています)。この練習により、リテンションのキャパシティを広げるだけでなく、自分はどんな時に聞き取れないのかを知ることもできますし、話の枝葉よりも大筋を掴む練習になっていると思います。

通訳について

通訳の魅力について考えをお聞かせください。

まだ、私は通訳の魅力を語れるほどのレベルではないので恐縮ですが、話者の話を一生懸命に聞き、その方の伝えたいメッセージの核を掴んで、その核を中心に聞き手に伝わりやすい表現で再構成して別言語で伝えるという、その難しさが魅力だと思います。言葉を置き換えるだけなら機械でもできます。しかし言語的性質が大きく異なる言語間の通訳では、伝わりやすさという一番大切な面で、人間の通訳者に軍配が上がるのではないかと思います。通訳者がどれだけ事前に準備したかはもちろん、通訳者がどれだけ2つの言語の海をそれぞれ泳いできたか、理解力など、通訳者の人生丸ごとが通訳の質に現れてしまうところが難しくも面白いところだと考えています。

今後の目標や抱負をお聞かせください。

TOBISの1級を取得するのが目標です。今回は逐次通訳試験のみを受験しましたが、同時通訳もできるようになって、いずれ通訳の仕事に就くことが目標です。

受験を検討している方へのメッセージをお願いします。

通訳学校には通いたいけどなかなか思うように練習時間が取れないとか、通っているけど伸び悩みの時期で辛いという方もいらっしゃると思います。かく言う私も、停滞期の真っただ中です。でも、最終目標から小さい目標に分解して、一歩一歩進んでいくことで、長い道のりでもモチベーションを維持できると思います。TOBISの受験もそのマイルストーンとして活用してみてはいかがでしょうか。

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